- 17年5月18日、ルネサスエレクトロニクス (6723)の公募増資・売出(PO)が発表されました。
- 17年6月12日、売出価格が決定しました。
[ルネサスエレクトロニクス]の詳細・分析
銘柄データ
銘 柄 | ルネサスエレクトロニクス | 発表日 | 2017年5月18日 |
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銘柄コード | 6723 | 売出株数 | 国内売出:128,566,500 株→107,444,900 株に変更 (OA:19,284,900 株) |
上場先 | 東証1部 | 吸収金額 (発表日時点) |
1372.06 億程度 |
信用貸借区分 | 貸借[売り禁] | 価格決定日 | 6月12日 |
業種 | 電気機器 | 受渡日 | 6月20日 |
株価・分売価格など
発表日終値 | 928 円 | 公募価格 | 825 円 |
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価格決定日終値 | 1,037 円 | 割引率 | -20.44 % |
信用データ
発表日貸株残 | 1,788,400 株 | 推定空売り数 | – 株 |
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受渡日前日 貸株残 |
1,552,800 株 | 空売り/公募数 | – % |
各種指標など
会社予想PER | 17.19 倍(※) | 予想配当 | 0 円 |
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実績PBR | 3.18 倍 | 配当利回り | 0 % |
ROE | 18.5 % | 配当性向 | 0 % |
※会社予想が通期ではなく2Qまでの為、暫定的に2Q時点の予想EPSを2倍とし、その値を元に概算のPERを算出しています。
コメント
発表日時点
- 引受会社(国内売出):大和証券、三菱UFJモルガン・スタンレー証券、JPモルガン証券、野村證券、みずほ証券
- 事業内容:日本を代表する半導体大手。車載用のマイクロコンピュータ(マイコン)に強み。
- 業績:長らく業績が低迷していた感じがありますが、世界的な半導体需要の高まりにより業績が回復。17年12月期1Qも大幅増益。
- 指標:同業他社と比べてやや割安か。
- 株主優待:無し
- 出来高:100万~450万株程度。
- 板:買いが250万株、売りが150万株程度。
- 半年間のチャート:安値圏と高値圏の中間あたり。チャート上では下落基調。
- 一般信用売り取扱:カブドットコム→無し SBI→HYPER空売り有り
- PO実施の目的:業績回復により経営再建に道筋がついたとして、産業革新機構などが保有株式の一部売却を決定。
- コメント:国内売出で1億3千万株、海外売出で2億7千万株の計4億株という、超大型売出となりました。
国内だけでも1,370億程度の売出となり、今年では3月の三井住友FGに次ぐ規模となります。
貸借で大型である事から事前の報道が出た際には期待していましたが、何と売出発表と同時で売り禁になってしまいました・・・
こうなってしまうと、値決めの後によほど上昇しない限り受渡日に持ちこたえられるとは考えづらく、厳しい展開になるのではないかと思います。
- ※6/6追記:売出の仮条件が決定していました。
仮条件:750円~900円 (ただし、売出価格は決定日終値から4%値引きした価格を上回らない)
・・・ということで、上限は900円となるようです。
POにおいてこの方式で価格を決定するのは珍しく、株価が900円を大きく超える状況なら一考の余地はあるのかもしれません。半導体セクターが活況である事も今回はプラスに働いています。
ただ、受渡日は相当きつい下げになると思われるので、株価がどの辺までなら持ちこたえられるのか、見極めが必要そうです。
- ※6/12追記:株価は発表日以降10%近く上昇しましたが、なんと20%のディスカウントで値決めとなりました。
てっきり900円で決まると思っていただけに、これは全くの想定外でした・・・
また、国内の売出数の一部が海外売出の方へ回ったため、国内における売出は2千万株も減ったようです。
大幅値引きに加えて売出数も減り、需給状況は改善したようにも見えるのですが、逆に国内では人気がなかったとも読み取れるので、判断が難しい感じではあります。
SOX指数の影響で半導体関連の市況が微妙になっているのと、ボラティリティが高い銘柄である事にも留意しておく必要があると思います。
(需給が崩れると、1日で100円程度は平気で動くため)
- ※6/15追記:少し気になるニュースがあったので、挙げておきます。
どうも、POの発表直前に機関投資家が大量のルネサス株を取得しているようです。アングル:日産のルネサス株売却で波紋、仲介の日興に批判もSMBC日興証券が仲介した日産自動車<7201.T>によるルネサスエレクトロニクス<6723.T>株式のブロックトレードが、市場に波紋を広げている。
上の記事に加えて、「今日の大幅な下げは機関投資家の売りの可能性」という株式新聞の記事もありました。
ロイターの記事と今日の下げが関連するかどうかは不明ですが、機関の取得価格が934円との事なので、少し意識しておく必要があるかもしれません。
受け渡しまでの値動きに注目したいと思います。
- ※6/19追記:6月15日の下げは、受渡前にPOで配分された株を売却したという見方もあるようですね・・・
個人投資家からすると「そんなのありかいな!?」と思ってしまいますが、超大型売出の場合はこのような事もありうると考えておいた方が良いのかもしれません。https://news.finance.yahoo.co.jp/detail/20170615-10000085-dzh-stocks
明日がいよいよ受渡日ですが、売り禁という事もあって空売りの返済はまず当てにできない感じです。
今日の終値が1,000円なので公募価格を割れるとしても限定的と見ていますが、寄り付きの動向に注目したいです。
実施結果
始値 | 955 円 ( + 130 円 ) |
寄付出来高 | 23,345,100 株 |
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高値 | 1,014 円 ( + 189 円 ) |
寄付出来高/ 公募数 |
18.42 % |
安値 | 955 円 ( + 130 円 ) |
1日の出来高 | 69,456,400 株 |
終値 | 1,001 円 ( + 176 円 ) |
- コメント:昨日より45円安い955円で寄り付き、すぐに買い戻しが入り始めました。
売りをこなしながら順調に株価が上昇し、10時までに昨日の終値まで戻る展開に。
11時過ぎには今日の高値を付けました。
その後も売りを消化しながら高値を追う展開となり、結局1,001円で引けました。
終値ベースでも昨日の株価を上回った形となっています。
※正直、楽観的に見た場合でも850~900円の間で寄り付くかと思ったのですが、想定していたよりかなり高く寄り付き、びっくりしました。
しかも、始値が安値となるほどザラ場で買いが強い状態でした。
昨日から半導体セクターにまた流れが来ていた感じではあったのですが、値決めの件も含め、色々な面で見誤る事が多かったように思います。
反省とともに、勉強する事の多かったPOとなりました。