- 17年7月3日、 出光興産 (5019)の公募増資・売出(PO)が発表されました。
- 17年7月12日、 公募価格が決定されました。
[出光興産]の詳細・分析
銘柄データ
銘 柄 | 出光興産 | 発表日 | 2017年7月3日 |
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銘柄コード | 5019 | 公募・売出株数 | 国内公募:33,600,000 株 海外公募:14,400,000 株 |
上場先 | 東証1部 | 吸収金額 (発表日時点) |
国内:1,095億程度 海外:469億程度 |
信用貸借区分 | 貸借 | 価格決定日 | 7月12日 |
業種 | 石油・石炭 | 受渡日 | 7月21日 |
株価・分売価格など
発表日終値 | 3,210 円 | 公募価格 | 2,600 円 |
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価格決定日終値 | 2,766 円 | 割引率 | -6.00 % |
信用データ
発表日貸株残 | 284,100 株 | 推定空売り数 | 3,064,100 株 |
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受渡日前日 貸株残 |
3,348,200 株 | 空売り/公募数 | 9.12 % |
各種指標など
会社予想PER | 4.67 倍 | 予想配当 | 50 円 |
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実績PBR | 0.71 倍 | 配当利回り | 1.92 % |
ROE | 15.2 % | 配当性向 | 9.0 % |
コメント
※下記に記載している評価などは、私の主観によるものが多く含まれています。
最終的な投資の決定は、投資家ご自身の判断で行われるようお願いいたします。
発表日時点
- 引受会社:大和証券、JPモルガン証券
- 事業内容:石油元売り大手。JXTGホールディングスに次いで国内シェア2位。最近は有機EL材料の生産も手がける。
- 業績:17年3月期は前々期比10%の減収も、原油価格の上昇により黒字転換。今期は会社予想で10%の増収、営業利益は8%減も経常利益・純利益は概ね横ばいを見込む。
- 指標:同業他社と比較して割安です。
- 自己資本比率:22.1% (経営レバレッジ:4.54)
- 株主優待:無し
- 出来高:1ヶ月平均で63万株程度。
- 板:買いが14万4千株程度、売りが19万9千株程度。
- 半年間のチャート:4月までは上昇基調にあり、3月中旬に年初来高値3,990円を記録。5月中旬までは高値の水準を保っていたが、決算発表以降は急降下し、5月末に3,080円の年初来安値を記録。その後は3,100円~3,300円のレンジ相場となり、現在に至っています。
- 一般信用売り取扱:カブドットコム→長期売建有り SBI→無し
- PO実施の目的:昭和シェル石油株式の一部を取得時に借入れた融資の一部を資本に置き換え。および海外製油所の生産開始までに要する原油在庫の購入資金等の運転資金や、海外潤滑油事業や有機EL材料事業等の戦略投資等に充当。
- コメント:海外も含めると、計4,800万株の超大型公募増資となります。
加えて、このPOは色々訳ありです。
出光が公募増資決議、創業家は差し止め仮処分申請へ出光興産<5019.T>は3日、公募による新株発行を決議したと発表した。発行株式数は4800万株。実施した場合、昭和シェル石油<5002.T>との経営統合に反対している出光創業家側が保有すると主張する、3分の1超の議決権比率が約26%に低下する。創業家側は新株発行の差し止め仮処分を裁判所に申し立...出光は昭和シェル石油との経営統合を目指していますが、創業家側が強く反発していて、計画が宙に浮いている状態です。出光興産:最大1385億円の公募増資へ-創業家は法的措置で対抗出光興産は3日、最大1385億円の公募増資を実施すると発表した。昭和シェル石油との合併計画に反対する創業家の持ち株比率は低下し、合併決議の否決に必要な3分の1を下回ることになる。これに対し、創業家側は新株発行の差し止め仮処分を申し立てる方針を明らかにし、真っ向対決の様相となっている。
(創業家側は3分の1以上の議決権を持っているとされており、現状では統合の目途が立たないため)
建前ではPO実施の目的が運転資金などの調達となっていますが、上記記事にもある通り、創業家の持ち株比率を3分の1以下に減らしたいのが本音だと思われます。
創業家側は当然今回のPOに反発しており、裁判所に差し止めの仮処分を申し立てるようです。
従って、仮処分の決定次第ではPOの実施が流動的になる可能性を考慮しておく必要があります。
また、今回のPOはOAによる売出がないようです。開示でもシンジケートカバー取引などの説明がないので、安定操作が行われない可能性もありそうです。
・・・正直な所、株主総会の直後に希薄度30%の大規模POを行うというのは、あまり良い印象を持てません。 経営統合という大義名分があるとしても、創業家の持ち株比率を下げるために他の株主まで巻き込むのはどうかなと・・・既存のホルダーさんが気の毒な気もします。
仮処分決定がいつ頃出るのか分からない状態ですが、しばらく様子を見てみたいと思います。
- 7/4追記:貸株の注意喚起が出たようです。
また、創業家側が正式に仮処分申請を申し立てました。
http://www.jiji.com/jc/article?k=2017070401156&g=eco
- 7/12追記:発表日以降、株価が15%近く下げたところで値決めとなりました。
また、ディスカウントも6%と、仮条件の下限で決まっています。
PERも5倍を切っており、超割安な水準となりました。
ただ、仮処分申請の結果がまだ出ておらず、POが行われるかどうかは現時点で確定していません。
(日航の公募増資の際は1週間程度で仮処分申請の判断が出たようなのですが、今回は時間が掛かっているようです。)
現状では裁判所の判断を待つしかないようです。
- 7/18追記:東京地裁が仮処分の申し立てを却下したとのことです。
この一報を受けて、株価は急落しました。
ただ、創業家側は東京高裁へ即時抗告を行っています。出光公募増資、差し止め請求却下 創業家は即時抗告検討 東京地裁決定 - 日本経済新聞出光興産が発表した公募増資計画を巡り、同社の創業家が新株発行の差し止めを求めた仮処分申し立てで、東京地裁(大竹昭彦裁判長)は18日、差し止め請求を却下する決定をした。「新株発行の主要目的が不当とは認められない」として出光側の主張を認めた。公募増資の実施後は、創業家の持ち株比率は現在の33.92%から約26%まで下がる見...
7月20日までに高裁での判断が出る可能性もあるようなので、差し止めを巡る争いは受渡日前日まで続く事になりそうです。
- 7/19追記:東京高裁も即時抗告を棄却しました。
これで、明日までに創業家が打てる手はほぼ無くなったようです。出光の公募増資、高裁も認める 創業家の抗告を棄却 - 日本経済新聞出光興産が発表した公募増資計画を巡り、同社の創業家が新株発行の差し止めを求めた仮処分申し立てで、東京高裁(川神裕裁判長)は19日、「新株発行は著しく不公正な方法により行われたとはいえない」とし、創業家側の即時抗告を棄却した。新株購入の払込期日は20日。出光側の主張を認めた18日の東京地裁に続き、高裁が公募増資を認める判...
正式に公募増資が実施される流れとなっています。
- 7/20追記:色々あった今回のPOも、ようやく明日が受渡日となりました。
空売りはある程度入っているようです。
売りの買い戻しとバリュー狙いの買いで、どこまで下げをカバーできるかが焦点なのですが・・・直近の大型POを見直してみると、ルネサスは受渡日でも大丈夫でしたが、三井住友FGのPOは公募割れしていました。
今日の終値から公募価格までは70円しかないので微妙な感じですが、寄り付きでも何とか持ちこたえて欲しいところです。
実施結果
始値 | 2,649 円 ( + 49 円 ) |
寄付出来高 | 5,107,500 株 |
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高値 | 2,785 円 ( + 185 円 ) |
寄付出来高/ 公募数 |
15.20 % |
安値 | 2,646 円 ( + 46 円 ) |
1日の出来高 | 18,332,200 株 |
終値 | 2,759 円 ( + 159 円 ) |
- コメント:○寄り付きは昨日より25円安いところでスタート。
すぐに買い戻される展開となり、9時半過ぎに2,720円まで上昇。その後は2,700~2,720円の間でもみ合う展開が前引けまで続きました。
後場に入るとジリ高基調となり、今日の高値を追う展開となります。14時過ぎに上昇のペースを速め、一時2,785円を付ける場面もありました。
その後は利益確定の売りに押されましたが、結局2,759円で大引けとなりました。
○1日を通して買いが強く、理想的なチャートとなりました。
今日の終値でもPERは6倍台と安い水準ですが、当面は原油市況や為替に左右される展開になりそうです。
ただ、今回のPOで合併に向け前進したということで、中長期的には株価が上昇する事を期待したいです。